サツマイモはマルチなしで育つ?成功する土作りと対策を徹底解説

サツマイモはマルチなしで育つ?成功する土作りと対策を徹底解説 根菜類
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サツマイモを育ててみたいけれど、畑に黒いマルチを張るのが大変だったり、プラスチックのゴミが出ることに抵抗を感じたりしていませんか?実はサツマイモはマルチなしの環境でも、ポイントさえ押さえれば立派に育てることができる野菜です。

もちろん、ただ植えっぱなしにしてよいわけではなく、マルチが担っていた役割を補うための雑草対策や土寄せといった管理作業は必要になります。自然に近い形で栽培できるのは大きな魅力ですが、失敗しないためにはコツがいります。

この記事では、マルチを使わない場合の具体的な栽培方法や植え付け時期、多くの人が心配するコガネムシ対策や気になる収穫量について、私の経験も交えながら詳しく解説していきます。

この記事で分かること!
  • マルチなしで栽培するための土作りと適切な植え付け時期
  • 乾燥や雑草からサツマイモを守るための具体的な管理方法
  • 収穫量や品質を維持するためのコガネムシ対策と土寄せのコツ
  • つる返しの判断基準や収穫までに行うべき作業の全体像

「もっと甘い野菜を作りたい」と土作りに悩んでいるなら、一度プロの作った正解の味を確かめてみるのが一番の近道です。

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サツマイモをマルチなしで成功させる土作りと植え付け

マルチなしで行うサツマイモの基本的な栽培方法と肥料管理

サツマイモは非常に生命力が強い野菜として知られていますが、被覆資材(マルチシート)を使わない「露地栽培」の場合、最初の環境作りが成功の鍵を握ります。通常、農業の現場で使われる黒マルチには、地温を効率的に上げたり、土壌水分を一定に保ったり、雑草を物理的に抑えたりする強力な効果があります。

それがない環境で栽培するということは、いわばサツマイモを「裸」の状態で厳しい自然環境にさらすことと同じです。そのため、私たちは少し違ったアプローチで、サツマイモが快適に育つ環境を整えてあげる必要があります。

まずは、苗を植える前の準備段階から、マルチなし栽培ならではの土作りの極意をしっかりと見ていきましょう。

基本的な栽培方法と肥料管理

サツマイモの栽培において、マルチなしで挑む場合にまず深く理解しておきたいのは、「マルチが果たしていた役割を、どうやって人間の手や他の方法で補うか」という点です。これを理解せずにただ漫然と植えてしまうと、活着不良や収量不足といった失敗に直結します。

具体的に、マルチがない環境では以下のようなリスクが発生します。

  • 水分の蒸発と乾燥:土の表面が直射日光や風にさらされるため、雨が降らない日が続くと急速に乾燥します。特に植え付け直後の苗にとって、乾燥は致命的です。
  • 地温の上昇不足:黒マルチは太陽熱を吸収して地温を上げますが、裸地では外気温任せになるため、春先の地温上昇が緩やかになります。
  • 雑草の猛攻:遮るものがないため、光を浴びた雑草がサツマイモよりも先に成長し、養分や水分を奪い合います。
  • 肥料の流亡:雨が降るたびに、土に含まれる肥料成分が下層へと流されやすくなります(リーチング)。

これらの課題に対処するため、基本的な栽培方針として「乾燥させないための初期灌水(水やり)」と「サツマイモが地面を覆うまでの徹底した雑草対策」が非常に重要になります。マルチ栽培が「環境制御型」であるなら、マルチなし栽培は「環境適応型」の農法と言えるでしょう。

また、肥料管理についても繊細なコントロールが求められます。サツマイモはもともと痩せた土地でも育つ作物ですが、マルチがないと肥料成分の保持力が弱まる一方で、土壌中の水分変化が激しくなりがちです。ここで「肥料が流れるから」といって多めに与えてしまうと、葉や茎ばかりが茂って肝心のイモが育たない「つるぼけ(蔓ボケ)」を引き起こす原因になります。マルチなし栽培では、肥料に頼るのではなく、土そのものの物理性(水はけや通気性)を高めることに注力するのが正解です。

肥料を控える土作りのポイント

サツマイモのために肥料を控える土作りのポイント

甘くておいしいサツマイモを作るための最大の鉄則は、「肥料、特に窒素(チッソ)分を極力控えること」です。これはマルチなしの栽培でも変わりません。むしろ、裸の土壌ではサツマイモと雑草が激しい生存競争を繰り広げることになるため、過剰な肥料はサツマイモだけでなく、競合する雑草の勢いまで爆発的に加速させてしまう恐れがあります。

農学的な視点で見ても、サツマイモは窒素に対する反応が非常に敏感な作物です。一般的に、野菜栽培では「10アール(1000㎡)あたり10kg〜15kg」の窒素成分を施用することが多いですが、サツマイモの場合はその半分以下、あるいはさらに少ない量が推奨されています。

サツマイモ栽培における施肥基準(10aあたり)
成分 基準施肥量 役割と過剰時のリスク
窒素(N) 3.0kg 〜 6.0kg 茎葉を作る。過剰だと「つるぼけ」になり、イモが太らない。
リン酸(P) 4.0kg 〜 8.0kg 根の伸長や開花結実に関与。初期生育を助ける。
カリ(K) 8.0kg 〜 12.0kg イモの肥大に最も重要。サツマイモはカリ肥料を好む。

(出典:日本いも類研究会『サツマイモMini白書』

家庭菜園での土作りの目安

前作でトマトやナスなどの野菜を育てていた畑であれば、土の中に肥料分が残っていることが多いため、基本的に元肥(植え付け前の肥料)は一切不要(無施肥)で構いません。「肥料を入れないと育たないのでは?」と不安になるかもしれませんが、サツマイモの根は地中深くから養分を吸い上げる力が強いため、心配無用です。もし初めて耕す場所や、極端に痩せている土地であれば、イモの肥大を助ける「草木灰」や「硫酸カリ」などのカリウム肥料を中心に、ごく少量の肥料を施す程度に留めましょう。

記事内で紹介した「硫酸カリ」はこちらです。一般的な化成肥料と違って窒素を含まないため、「つるぼけ」を防ぎながら、サツマイモの甘みを引き出すカリウム分だけをピンポイントで補給できます。

また、窒素肥料が効きすぎると、植物体の細胞組織が軟弱に育ち、コガネムシやアブラムシなどの害虫被害を受けやすくなるという重大なデメリットもあります。特にマルチなし栽培では、害虫の侵入を防ぐ物理的な壁がないため、「あえて肥料を切らし、厳しめの環境で筋肉質に育てる」くらいの意識で土作りをするのが、病害虫に負けない強い株を作る秘訣です。

排水性を確保する高畝の畝立て

サツマイモの排水性を確保する高畝の畝立て

マルチを使わない栽培において、最も重要であり、かつ労力を割くべき作業が「畝(うね)立て」です。私の長年の経験上、ここでの手間を惜しまないことが、後の生育と収穫量を大きく左右します。

マルチがない土は、雨が降るとダイレクトに水が染み込みます。梅雨の時期や秋の長雨などで土壌水分過多の状態が続くと、土の中の酸素が不足し、サツマイモの根が呼吸できずに「根腐れ」を起こしたり、イモの表面が荒れてしまったりするリスクが高まります。これを防ぐための物理的な解決策が、通常よりも高く土を盛った「高畝(たかうね)」にすることです。

高畝には、以下の3つの大きなメリットがあります。

  1. 排水性の劇的な向上: 重力を利用して余剰な水分を畝の下へと排出します。マルチなし栽培では雨水をコントロールできないため、水はけの良い環境を構造的に作っておくことが命綱となります。
  2. 通気性の確保: 畝を高くすることで、側面から土の中に新鮮な酸素が供給されやすくなります。サツマイモの根は呼吸を盛んに行うため、通気性の良さはイモの肥大に直結します。
  3. 地温上昇の補助効果: 平らな地面よりも表面積が増えるため、太陽の光を受ける面積が大きくなります。これにより、マルチなしによる地温不足をある程度補完し、初期生育を促進する効果が期待できます。

具体的なサイズとしては、一般的な野菜栽培の畝よりも一回り大きいサイズを目指しましょう。

  • 畝の高さ:25cm〜30cm以上(ひざ下くらいの高さが理想)
  • 畝の幅:70cm〜90cm程度(ゆったりと根を張らせるため)

高く盛った土は乾きやすくなりますが、これが逆にサツマイモの生存本能を刺激します。表面が乾くことで、根は水分を求めて地中深くへと伸びようとし、結果として乾燥にも強い、丈夫な株に育つのです。

植え付けに適した時期の目安

サツマイモ苗の植え付けに適した時期の目安

「いつ植えるか」というタイミングの判断は、マルチなし栽培の成否を分ける非常に重要な要素です。ここで焦って、マルチ栽培と同じ感覚でゴールデンウィーク頃に早植えをしてしまうと、失敗する可能性が極めて高くなります。

なぜなら、黒マルチがない土壌は、春先の地温がなかなか上がらないからです。サツマイモは熱帯原産の作物であり、寒さが大の苦手です。地温が低い時期に無理やり植えると、根が活動できずに「活着(根付くこと)」せず枯れてしまったり、成長が止まってしまったりします。最悪の場合、低温障害を受けて苗が弱り、そのまま回復しないこともあります。

公的な栽培指針においても、サツマイモの植え付けに適した気象条件は明確に定義されています。

植え付け適期の条件 平均気温が18℃以上、かつ地温が15℃以上になってから行うのが定石です。 (出典:タキイ種苗『野菜栽培マニュアル サツマイモ』

この条件を満たす時期は、地域にもよりますが、関東以西の平暖地であれば「5月中旬から6月下旬」となります。マルチ栽培では5月上旬から植え付けが可能ですが、マルチなしの場合はそこから半月〜1ヶ月程度時期を遅らせるのが安全です。

「遅く植えると収穫まで間に合わないのでは?」と心配になるかもしれませんが、サツマイモは気温が高くなると一気に成長スピードを早めます。寒さに震えながら停滞する期間を作るよりも、十分に暖かくなってから植え付けて、ロケットスタートを切らせる方が、結果として健全な生育につながるのです。

活着率を高める植え付け方法

サツマイモ苗の活着率を高める植え付け方法

土作りと時期の選定が終われば、いよいよ植え付けですが、マルチなし栽培で最もハードルが高いのが、植え付け直後の「活着(かっちゃく)」です。活着とは、切られた苗から新しい根が出て、土にしっかりと根付くことを指します。

マルチがあればフィルムの下で湿度が保たれ、蒸し風呂のような状態で発根が促されますが、裸地では風が吹けばすぐに土が乾いてしまいます。まだ根が出ておらず、水を吸い上げる力がない苗にとって、この乾燥は死活問題です。活着率を高めるためには、以下のテクニックを駆使して乾燥から苗を守り抜く必要があります。

1. 天候を味方につける

植え付け作業は、カンカン照りの晴天日を避けるのが鉄則です。ベストなタイミングは、「雨が降る前日」または「曇りの日の夕方」です。これにより、植え付け直後の強烈な日差しによる葉からの水分蒸発(蒸散)を防ぎ、スムーズに水分バランスを整えることができます。

2. 水分を確保しやすい植え方を採用する

植え付け方法にはいくつかの種類がありますが、土壌水分が不安定なマルチなし栽培では、「水平植え」や「舟底植え」が推奨されます。

植え方 特徴とマルチなし適性
水平植え 【特徴】
苗を水平に寝かせて、3〜4節を土に埋める。
【評価:◎ 推奨】
浅い位置に根が張るため地温の影響を受けやすく、各節から均等にイモができやすい。
舟底植え 【特徴】
苗の中央を深く湾曲させて埋める。
【評価:◯ 良好】
水平植えよりも深い位置の水分を利用でき、乾燥にやや強い。活着と収量のバランスが良い。
垂直植え 【特徴】
苗を縦に深く挿す。
【評価:△ 注意】
乾燥には最も強いが、イモの数が減り、丸くなりやすい。どうしても水やりができない場合の緊急手段。

どの方法を選ぶにしても、共通して重要なのは「葉(葉身)は必ず地上に出し、節(茎の節目)は確実に土に密着させる」ことです。サツマイモの根は節から出るため、節が浮いていると発根しません。

3. 活着までの徹底的な水管理

「サツマイモは乾燥に強い」というのは、あくまで根付いた後の話です。植え付け直後は、他の野菜と同じか、それ以上に水を欲しがります。植え付け時にはたっぷりと水をやり、その後約1週間は、土の表面が白く乾かないように、毎日こまめに水やりを続けてください。

また、裏技として、植え付けた苗の周りに濡らした新聞紙を敷き、その上から軽く土を被せておく「新聞紙マルチ」や、刈り取った雑草を敷き詰める「草マルチ」を行うのも非常に有効です。これらは土の乾燥を防ぐだけでなく、初期の地温低下を和らげる効果もあり、活着率を劇的に向上させてくれます。

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サツマイモのマルチなし管理と収穫量を守る対策

マルチなしのサツマイモ畑で労働負担となる雑草対策

無事に苗が根付いてツルが伸び始め、新しい葉が展開してくれば、第一関門突破です。しかし、ここで安心して放置してしまうと、秋の収穫で痛い目を見ることになります。ここからは、収穫までの数ヶ月間、どのような管理が必要になるかを解説します。

特に「雑草」と「虫」との戦いは、物理的な防御壁を持たないマルチなし栽培ならではの課題であり、ここでの手抜きが収穫量の減少に直結します。

労働負担となる雑草対策

「サツマイモ マルチ なし」と検索される方の多くが最も懸念していること、それはやはり雑草管理の手間ではないでしょうか。土が露出している以上、光と水があれば雑草が生えてくるのは自然の摂理です。しかし、やみくもに草むしりをする必要はありません。効率的な除草のタイミングと期間を知っておけば、労働負担を最小限に抑えることが可能です。

雑草対策の勝負どころは、「植え付けから、ツルが地面を覆い尽くすまで」の約1〜2ヶ月間です。この期間だけは、徹底して雑草を排除してください。

なぜ初期除草が重要なのか

サツマイモの生育初期は、まだツルが短く、地面の多くが日光に当たっています。この状態で雑草が生い茂ると、サツマイモの苗は「光」と「土壌養分」の両方を奪われ、生育が著しく阻害されてしまいます(これを「雑草害」と呼びます)。

しかし、サツマイモには強力な武器があります。それは、地面を這うように広がる旺盛なツルと葉です。サツマイモが順調に育ち、畑の地面が見えないほど葉で覆い尽くしてしまえば、地面には光が届かなくなり、新たな雑草は発芽できなくなります。これを「リビングマルチ(生きた被覆材)効果」と呼びます。

効率的な除草のコツ

雑草が大きくなってから引き抜くのは重労働ですし、抜く際にサツマイモの根を傷つけてしまうリスクもあります。おすすめなのは、雑草がまだ芽を出したばかりの小さいうちに、「長柄の鎌」や「三角ホー」を使って、土の表面を薄く削るように動かす除草法です。これなら立ったまま作業ができ、腰への負担も少なく済みます。この作業を週に1回程度、ツルが広がるまで繰り返しましょう。

記事でおすすめした「立ったまま作業できる三角ホー」の代表格がこちらです。刃幅が75mmとコンパクトなので、サツマイモの株間のような狭い隙間でも、誤って苗を切ることなくスムーズに除草できます。

イモを守る土寄せのタイミング

地表に出たサツマイモを守る土寄せのタイミング

マルチなし栽培において、除草と同じくらい重要な作業が「土寄せ(つちよせ)」です。これは、畝間の土を削って株元に寄せる作業のことですが、単に土を盛るだけでなく、サツマイモの品質を守るための防御策としての意味合いが強いです。

マルチなしの畝は、雨が降るたびに少しずつ崩れ、土が流されていきます。特に激しい夕立や台風の後などは顕著です。もし、土の中で肥大し始めたイモの一部が地表に顔を出し、日光に当たってしまうとどうなるでしょうか。

  • 緑化(りょくか):ジャガイモほどではありませんが、サツマイモも光に当たると皮が緑色に変色し、外観が悪くなります。
  • 食味の低下:変色した部分は硬くなり、エグ味が出るなど味が落ちる原因になります。
  • 害虫の標的:露出した部分はコガネムシやネズミなどの食害を受けやすくなります。

これらを防ぐために、以下のタイミングで計2回の土寄せを行いましょう。

回数 時期の目安 作業のポイント
1回目 植え付け後
(新芽が動く頃)
  • 除草を兼ねて畝間を軽く耕す(中耕)
  • 株元へ軽く土を寄せる
  • 土の通気性を良くする
2回目 ツルが伸びて
畝間を塞ぐ直前
  • これが最後のチャンス
  • 株元へたっぷりと土を寄せる
  • 崩れた畝と排水溝を修復する

この「中耕・土寄せ」というプロセスは、土をふかふかに柔らかく保つ効果もあり、丸くて形の良いイモを作るためにも非常に効果的です。

つる返しの必要性と判断基準

サツマイモのつる返しの必要性と判断基準

サツマイモ栽培の解説書を読むと、必ずと言っていいほど出てくるのが「つる返し」という言葉です。これは、伸びたツルを持ち上げてひっくり返す作業のことを指します。マルチなし栽培では、この作業の必要性が特に議論になります。

その理由は、「不定根(ふていこん)」の発生です。マルチの上ならツルが土に触れることはありませんが、マルチなしではツルの節々が直接湿った土に触れます。すると、そこから根(不定根)が出て地中に潜り込み、小さなイモ(小芋)を作り始めます。

昔からの定説では、「不定根に小芋ができると、栄養が分散してしまい、本来収穫すべき株元のメインのイモが大きくならない」と言われてきました。そのため、定期的にツルを持ち上げて不定根を引き剥がす「つる返し」が推奨されてきたのです。

しかし、近年の研究や栽培現場の実感としては、「必ずしも必須ではない」という見方が強まっています。

つる返しを判断する基準

最近の主流品種である「紅はるか」や「ベニアズマ」などは、株元に栄養を集める能力(シンク強度)が高く、少々の不定根が出てもメインのイモは十分に肥大します。むしろ、無理につる返しをして葉の向きを変えたり傷つけたりすることで、光合成能力が落ちるデメリットの方が大きい場合もあります。

ただし、以下の状況ではつる返しを行う価値があります。

  • ツルが伸びすぎてジャングル状態になっている時:隣の畝や通路までツルが侵入している場合は、管理のために整理しましょう。
  • 「つるぼけ」の兆候がある時:葉の色が異常に濃く、茎が太すぎる場合は、あえてつる返しを行い、根を切ることで生育にストレスを与え、イモへの栄養転流を促すというテクニックがあります。

基本的には「放任」で構いませんが、生育状況を見ながら柔軟に対応するのがスマートな管理法です。

厄介なコガネムシ対策の徹底

サツマイモを食害する厄介なコガネムシ対策の徹底

マルチなし栽培で最も頭を悩ませる、そして最も悲しい結果を招くのが、コガネムシの幼虫(ジムシ)による食害です。ネット上の体験談でも「掘ってみたら穴だらけだった」「肌が汚くてがっかりした」という声が多く聞かれます。

コガネムシの成虫は、初夏から夏にかけて飛来し、土の中に卵を産みます。この時、マルチという物理的なカバーがあれば産卵を防ぐことができますが、マルチなしでは土が剥き出しのため、格好の産卵場所となってしまうのです。

孵化した幼虫は地中で成長し、秋になるとサツマイモの塊根(イモ)を猛烈な勢いで食べ始めます。被害を受けたイモは、表面に不規則で深いクレーターのような穴が開き、見た目が著しく損なわれます。味に影響はないものの、傷口から腐りやすくなるため長期保存ができなくなります。

効果的な対策のアプローチ

1. 産卵場所を作らせない(耕種的防除)

コガネムシは、腐葉土や未熟な堆肥の腐敗臭に誘引されます。そのため、植え付け前の土作りでは、未熟な有機物の使用を徹底的に避けてください。使用する場合は、完全に発酵してにおいのない「完熟堆肥」を選びましょう。また、畑の周辺に雑草が生い茂っていると成虫の待機場所になるため、周囲の草刈りも重要です。

2. コンパニオンプランツの活用(忌避効果)

農薬を使いたくない場合は、コガネムシが嫌う植物を近くに植える方法があります。例えば、サツマイモの畝間に「赤シソ」や「マリーゴールド」などを混植することで、成虫の飛来を減らす効果が期待できるという報告があります。

3. 薬剤による確実な防除(化学的防除)

もし過去に被害が出た畑や、絶対に綺麗なイモを収穫したい場合は、文明の利器に頼るのも一つの手です。植え付け前に「ダイアジノン粒剤」などの土壌殺虫剤を土に混ぜ込んでおくことで、初期の幼虫密度を劇的に下げることができます。

コガネムシの幼虫対策として最も実績があり、家庭菜園でも使いやすいのがこの薬剤です。土に混ぜることでガス成分が広がり、隠れた幼虫までしっかり防除してくれます。

※農薬を使用する際は、必ず商品ラベルの「適用作物(サツマイモが含まれているか)」「使用量」「使用時期」を確認し、正しく安全に使用してください。(出典:農林水産省『農薬コーナー』

気になる収穫量と味の評価

マルチなしサツマイモの気になる収穫量と味の評価

手間暇をかけて育てたサツマイモ。結局のところ、マルチなしでもちゃんと収穫できるのでしょうか? そして、その味はどうなのでしょうか。

結論から正直に申し上げますと、収穫量(重量)に関しては、マルチ栽培に比べて1〜2割程度落ちる傾向にあります。これは、地温確保の遅れによる生育期間の実質的な短縮や、土壌水分の変動による肥大効率の低下が主な要因です。

また、外見の品質(A品率)も下がります。土の圧力や乾燥の影響を受けやすいため、表面が少しガサガサしたり、形が丸くなったり、コガネムシの食害跡があったりすることが多くなります。「スーパーで売っているようなツルツルの綺麗なイモ」を期待しすぎると、少し失望するかもしれません。

しかし、「味」に関しては全く心配無用です。むしろ、ポジティブな要素さえあります。

過保護に育てられた野菜よりも、厳しい環境で育った野菜の方が味が濃くなるというのはよくある話ですが、サツマイモも例外ではありません。水分ストレスがかかることで、イモは自らを守るためにデンプンや糖分を蓄積しようとします。その結果、じっくりと時間をかけて育ったマルチなしのサツマイモは、ホクホク感が強く、甘みの詰まった濃厚な味わいになることが多いのです。

自家消費用としては十分すぎる量と、野趣あふれる格別の味が待っています。形が不揃いなのも、家庭菜園ならではの愛嬌と言えるでしょう。

サツマイモはマルチなしでも育つか

ここまで、土作りから収穫まで、マルチなし栽培の全貌を解説してきました。改めて問い直しますが、「サツマイモはマルチなしでも育つか?」という問いへの答えは、自信を持って「YES」です。

かつての農業では、ビニールマルチなど存在しませんでした。それでも先人たちは、土を高く盛り、草を刈り、土を寄せることで、毎年サツマイモを収穫し、命をつないできたのです。被覆資材を使わない栽培は、いわば「原点回帰」の農法であり、自然の雨や風、太陽の光をダイレクトに受けるダイナミックな営みです。

確かに、「除草の手間」や「虫食いのリスク」といった課題はあります。しかし、高畝を作って排水を良くし、適切な時期を見極めて植え付けを行い、土寄せでイモを守ってあげれば、植物はそれに応えてくれます。プラスチックゴミを出さず、土に還る資材だけで作物を育てるという行為は、環境に優しいだけでなく、育てる人の心にも深い満足感を与えてくれるはずです。

今年のシーズンは、ぜひ黒マルチに頼らず、土と太陽の力だけを信じて、サツマイモを育ててみてはいかがでしょうか。秋の収穫の時、土の中からゴロッと出てくるイモの手触りは、きっといつも以上に温かく感じられるはずです。

※本記事で紹介した栽培方法は一般的な目安です。地域の気候や土壌条件(粘土質か砂質かなど)によって最適な方法は異なりますので、実際の栽培では現地の状況や、地元の種苗店などのアドバイスも参考にしながら調整してください。

 

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